中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

賃金

カイゼン研究会のパートナーであり、HRP(ヒューマンリソースパートナー)日中異文化経営コンサルタントとして、フリーランスで活動している金です。

 

私は日本生まれ日本育ちの華僑第3世で、中国で1990年代後半から活動をしています。

 

中国における経営・事業・組織・人事・マネジメント・コミュニケーションを含め、日々気づいた事をこうしてメルマガで発信させて頂いております。

 

 

中国における賃金相場は年々上昇しています。

 

「中国は人件費が安いと思っていたけどとんでもない」

「他社に倍の賃金で転職した」

等賃金に関する話題には事欠きません。

 

中国における賃金は決して安くなく、経済及び求人マーケットの成長に合わせ高騰しているのが現実です。

 

中には100万元を越える年棒社員も存在します。

 

経営として賃金をどう考えるかは大きな課題だと言えます。

 

【上海における日系企業の賃金相場】

「現在の賃金相場を教えて欲しい」

賃金に対する質問を受けることもありますがいつも返答に困ります。

 

業界による変動も大きく平均が取りにくいのも事実です。

 

大卒における初任給を例に取っても、平均5000元前後とお答えをしていますが、この平均5000元と言うのも3000元もあれば中には7000元の企業も存在しています。

 

大卒初任給でこれだけ差がある中で、出資国家別を含め各業種や各職種また経験や資格等様々な要因が入る事により幅が生じているのが事実です。

 

幅が広い中でも日系企業には日系企業の相場があります。

 

大卒初任給は前述のとおりですが、一般社員5000元~7000元、マネージャークラス10000元以上、部長クラス25000元以上と言うのが現在の日系企業の相場です。

 

もちろんこの数字も日々変化していると言えます。

 

【日系・欧米系それぞれの賃金に対する考え方】

賃金は評価や査定、賞与を含む人事制度や賃金システムとも深く関わっています。

 

個人差のあまりつかない日系企業と個人差が激しい欧米系企業。

 

賃金決定におけるプロセスや手法においても明確な違いがあります。

 

欧米企業が最も重視するのは現状のマーケットにおける価値であるのに対して、日系企業は同業や地域の情報を中心として決定していく傾向があります。

 

マーケットにおける数値を正確に測るために欧米企業は調査会社を利用し業種・職種・スキル・経験・仕事内容・業務の難易度を含めた細かい項目においてマーケットにおける数字をたたき出し、徹底的に分析を行い自社の社員について比較検討。

 

自社における業務内容及び難易度に照らし合わせて調整、優秀な社員や引き止めたい社員はマーケットよりも高い給与を提示します。

 

成果が低いままだと本人の賃金はマーケットに追いつく形になり、成果が高ければマーケットよりも上位の賃金という事になります。

 

マーケットは前述のように刻々と変化をしますので、年に一回調査を行い調整します。

 

高給であればあるほど要求される成果やミッションは厳しくなります。

 

日系は同業他社及び同地域の情報を参考にして賃金を決定。

 

影響力が大きいのは横の情報です。

 

以前ある日系企業が調査会社に依頼し自社の賃金レベルを調べたところ、マーケットにおける下位25%と言う結果が出たそうです。

 

総経理はマーケットとのあまりの乖離に愕然としたそうです。

 

賃金だけが働く上でのモチベーションではありませんが、従業員にとっては大きな要素である事は間違いありません。

 

賃金を決定しているのは評価を含めた人事制度が大きく関わっています。

 

社内の人事制度と社外のマーケット。

 

どちらも重要です。

 

競争の激しい上海。

 

賃金に対する考え方や決定方法について再考する必要があるのではないでしょうか。