おはようございます。
現場カイゼン研究会 宇賀です。
日系の製造業にいるとなかなか関わることがないかもしれませんが、
世界的に有名な管理手法としてシックスシグマというものがあります。
日本は製造業が強いので、QC活動、TQM、ジャストインタイムなどが
品質、効率向上のために伝統的に取り入れられてきました。
しかし、ひとたび欧米に目を向けるとその常識が通じないことがあります。
トヨタ生産方式で言うところ二本柱が
ジャストインタイム(効率)
ニンベンのついた自働化(品質)
とすると
海外では
リーン生産(効率)
シックスシグマ(品質)
この2つが製造業のベストプラクティスとされ、製造業に従事する人が理解しておくべき内容とされています。(グローバルスタンダード)
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経理の仕事をするなら簿記を勉強しないと、
という様に
製造の仕事をするならリーンとシックスシグマを勉強しておかなければ、
という具合です。
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トヨタ生産方式は海外に行くと
ジャストインタイム=リーン生産方式と呼ばれ
ニンベンのついた自働化の思想は抜け落ちます。
それはもったいないと毎回思う訳ですが、その代わりにシックスシグマが普及しているのです。
前置きが長くなりましたが
今回は以下の3点を話していきます。
(1)シックスシグマとは?
(2)その構造とQCとの違い
(3)中国での有効性
(1)シックスシグマとは?
1980年代、日本企業の品質向上を背景に、アメリカで日本のTQC活動をベンチマークしながら体系化された品質管理手法です。
言葉そのものの意味は統計用語で、
6σ(文字化けしていたらすみません)
シグマというのは標準偏差の意味です。
平均値からの距離を表すもので、データのばらつきを表します。
なので本来の意味を言うと
品質管理において、平均値ではなく平均値からのばらつきに着目し、それを6シグマ以内に抑えることを目指すことで品質の安定を目指す
という統計的品質管理です。
(100万回のうち3.4回だけ不良が出るような状態)
統計用語が多くなるので詳しくは説明しませんが、元々の始まりはばらつきに注目した統計的管理でした。
しかし、その品質管理手法がGEの経営改革プロジェクトに応用されて成功したことで、
名前は統計的用語であるシックスシグマですが
中身は問題解決や組織改革におけるフレームワーク
問題解決の方法論となっています。
方法論とはどんなものかと具体的に言うと
QCや問題解決における8ステップ
STEP1 問題の明確化
STEP2 現状把握
・・・・
というような問題解決手順です。
今ではISOにも規定されており、グローバルスタンダードとなっています。
具体的には次の構造で話していきます。
(2)その構造とQCとの違い
通常のQCや日常業務では有名なPDCAサイクルやSDCAサイクルに沿って仕事を進めていくというのが共通言語になっています。
しかし、
シックスシグマではその体系が異なっておりDMAICと呼ばれます。
今はDフェーズだよ、次はMフェーズという具合です。
そんな難しくはないので以下に説明すると
Define 取り組むべき問題の定義
Measurement 現状の把握、データ収集、測定
Analysis 分析、要因の特定
Improvement 対策立案、検証、対策実施
Control 成果の確認、維持、定着
このようなステップで問題を解決していこうということです。
もともと日本企業の品質管理を体系化してできたため、QCの問題解決ステップとかなり似ていることが分かります。
使われる用語はかなり違っており
Voice Of the Customer(VOC)
テーマや方針を決める際に一番重要視されるお客様の声という意味です。
Critical To Quality(CTQ)
VOCや経営状況を加味し経営品質に決定的影響を与える要因
他にも
y=f(x)(結果と要因)
などなど
挙げるときりがないのですが、各ステップで重要視される言葉はQCとは異なっています。
しかし、最も大きな違いはその思想にあります。
シックスシグマは
経営課題に直結する、定量的な問題に対し
トップダウンでのテーマ設定
プロジェクト型の期間限定で一気に進める。
そして、最終的な損益を測る
というのが前提としてあります。
設備を購入するときのように活動開始前からこのプロジェクトの予想利益
投資対効果を推定し、経営判断としてこのプロジェクトを実行すると決め
そこからメンバー集めが始まります。
Dフェーズでは経営層がメインになることが多く、
そこでクリティカルなテーマをいくつか挙げ、
そのCTQを解決するプロジェクトを開始するのです。
日本型のQCの場合は、テーマ選定の発端は従業員の困りごとなどからボトムアップで決まることも多く、職場内で完結しやすいテーマが選ばれることも多々あります。
それとは異なり、経営視点、財務情報やその業務における損益から分析を始めて取り組むのがシックスシグマです。
これは従業員への考え方の違いでもあります。
製造現場への期待、その教育の一環としての側面がQCサークルでは強いです。
シックスシグマでは
あくまで利益追求のプロジェクトであり
経営者含め幹部以上の経営課題解決が
メインテーマとなります。
もちろんその管理者層のリーダーとしての資質を高めて、
次のプロジェクトでも活躍してもらいたい
というのはありますが、あくまで利益追求のために実施しています。
日本と欧米における現場とスタッフへの考え方の違いが大きく出ており、常識の違いと言える部分かもしれません。
(3)中国での有効性
どちらが中国に適しているかと聞かれると
日本で行われているQCやトヨタ生産方式とシックスシグマの内容、中身、やることはそこまで変わらない、というのが両方見てきた実感です。
しかし、
進め方、考え方という点では
・プロジェクトでのスピード重視
・利益追求型
・トップダウンでのテーマ選定
というシックスシグマ的な進め方が中国ではフィットするように感じます。
どちらのプロジェクトもやってきましたが、
日本のようなボトムアップを中国で期待するというのは
従業員と経営層の仕事への認識のギャップの解消がまず必要になってきます。
(前回のメルマガをご参照)
http://japan.a-solsh.com/mg/mailmagazine925.html
トップダウン型とは言いますが
プロジェクトを考える段階で経営層がより細かくテーマを吟味し
どれだけ儲かるかを試算する。
ここまでを経営層とリーダーで作り込んでからプロジェクトを開始するのでは、
最初のスピード感が全く違うというのが実感です。
そして、最初から成功の条件が数値で明確なため担当者も分析、対策に没頭できます。
目標やKPIを担当者に考えてもらうところから始めると、
様々な意見が出てきてその調整で時間がかかってしまう印象です。
見えない教育への投資まで含めどちらが優れているということは言いきれないですが、現場のボトムアップにマンネリを感じているのであれば一度試してみることをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
P.S.
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