中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

内モンゴルの牛乳工場

こんにちは。カイゼン研究会 宇賀です。

 

この連休を利用して内モンゴルのフフホトに行ってきました。

仕事でもなかなか行く機会のないところなので、

ほとんど前情報もなく行ったのですが、

タクシー運転手に聞くと、観光シーズンは6月~8月くらいで

実際、他の省に比べ連休なのに観光客が少ないことに驚きました。

 

運転手も

「なんでこの時期に来たんだ。。まだ寒いし、草原もあなたたちの想像しているような景色にはまだなっていないと思うよ。」

というようなことを言われながら移動していたので、ちゃんと調べておけばよかったなと着いてすぐに少し後悔したことを覚えています。笑

 

実際に草原に行ってみると、

モンゴルと聞いて想像していた緑が果てしなく広がった大草原ということはなく、冬のゴルフ場のラフのような感じで、一面に広がる黄色や茶色の芝に馬などが放牧されていました。

 

やはりまだ寒く最低3度くらいの気温で

現地でも長い冬が終わり、これから観光シーズンに向けて準備していこうという状況でして、オープンしたてのゲルやレストランには最近アルバイトとして雇われた新人がずらっとおり、手持ち無沙汰にうろうろしたり、やることがないので掃除したりと言いう様子でした。

 

その人たちに聞いてみると

観光シーズンが短いため、ガイドも含め観光専業でやっている人は少なく

3カ月くらいだけ民族衣装を着たりして、観光ガイドや草原でのレストランの手伝い、ゲルの運営などをするが、他の時期はワイマイの運転手などをして都市で働いているということでした。冬が寒いし長過ぎるので、観光客が夏しか来ないからということだそうです。

 

まあ、そんな状況でもやはり大自然の中で泊まるというのはなかなかできない貴重で楽しい経験でした。建造物など何もない中で果てしなく水平線が見え、空気もきれいで、電気の明かりもなく頭上180度すべてで星が見えるゲルに泊まり、みんなで火を囲みながら、民族舞踊や伝統音楽の演奏を聴きながらお酒を飲むというのは新鮮で、やはり来てよかったなと思います。

(山開きならぬ草原開きの初日で、今シーズン初の観光客だったのでトラブルも多く、宿泊したゲルではお湯が出ず、その日はシャワーを諦めました。)

 

 

その後、フフホトに戻り

中国乳製品メーカーの「蒙牛」の工場見学に行きました。

 

創業者は「牛根生」という方で苗字が牛です。

同じく内モンゴルで歴史のある乳製品メーカー「伊利」で副総経理だった牛さんが、独立したことでできた会社です。

1999年に創業し、わずか5年で上場するというスピード成長を見せます。

今では、「蒙牛」と「伊利」の中国2大乳製品メーカーとなり、2社で市場シェアの約50%を取っているほどです。

 

そんな「蒙牛」の工場見学に行ったのですが

すごく遊び心にあふれた工場というのが印象的です。

 

工場の外観は白と黒の牛柄に彩られており、

工場に入ってすぐに、牛柄の靴カバーが配られ

見学者の足元はすべて牛柄になります。

トイレもすべて牛柄です。笑

 

特にガイドが案内してくれるという訳でなく

工場の中に見学ルートがあり、それに沿って自分で歩いてみていきます。

ルートは工程ごとに説明が書いていますが、一番驚いたのは配膳ロボットのようなものがガイドしてくれるということです。ルート上にロボットが配置され、それが説明してくれます。

 

運ばれてきた原料乳が

予備加熱→均質化→殺菌→保持という工程順で

その後、製品によって味付けが変わるために分かれていきます。

そして、パック梱包→段ボール梱包→倉庫という流れです。

 

すべて全自動で、自動梱包機のところに紙パックや段ボールを補充する人がいるくらいです。コントロール室ではすべての工程の設備状況が大画面に表示され、それを管理者がずっと監視しており、先進的な工場です。

 

従業員が考えた見学者を楽しませる工夫が至る所にあり、工場の中でもAGVや梱包のためのアームロボットなどが牛になっていたり、会社の歴史だけでなく牛、牛乳、チーズの歴史やトリビアがルート上に書かれていたり、1時間ちょっとのコースですが楽しみながら見学できます。

ルート上には自動販売機が置かれ、工場の製品を食べながら見学できます。笑

 

工場の人に聞くと

自動梱包機の可動率が良くないことに困っているとのことで

たしかにその周りだけ、技術者や管理者が集まり、止まるとすぐに処置することができる配置になっていました。(その他の場所にはまったく人がいないのですが)

 

実際に牛がいて原料乳を取る牧場は別の場所にあるため、見ることができずに残念でしたが、写真での解説が展示されています。

 

最後には蒙牛製品のお土産売り場があり、ヨーグルトやアイスなどを買って見学終了となります。

 

見学する前は特に何の印象もない企業でしたが、見学後はスーパーマーケットやコンビニで蒙牛の製品を見かけるたびに、迷ったら選んでしまいます。

やはり良い工場を見学すると、製品に愛着を持ち、ファンになるきっかけになりますね。(ちなみにその後「伊利」の工場見学も行きました。)

 

今回は旅行記のようになってしまいましたが

遊牧民族の文化や歴史、現代の畜産業など、普段触れないことが多く新鮮な体験ばかりだったのでまた行きたいと思います。内モンゴルおすすめです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

中国企業BYDの成り立ちとは?

こんにちは。カイゼン研究会 宇賀です。

 

電気自動車販売台数で

テスラと1,2位を争う中国を代表する企業のBYD。

プラグインハイブリッド、ガソリンまで含めると

2023年度、中国で最も売れたブランドとなりました。

年間302万台(前年比約62%増)という勢いです。

 

2022年には日本市場への参入も開始し

最近では長澤まさみを起用したCMが大々的に流れ

日本での認知度も増しつつあります。

 

こんなに有名企業ですが

意外と日本語での企業研究や書籍が少なく

全貌が見えにくい企業なのです。。

 

今回は

そんなBYDの成り立ちや創設者の紹介をしていきます。

 

(1)創始者 王伝福と設立の流れ

(2)電池事業について

(3)自動車事業について

の順に話していきます。

 

 

(1) 創始者 王伝福と設立の流れ

 

BYDの設立は1995年ですが

創始者の王伝福さんはさかのぼること30年

1966年安徽省の農村生まれです。

 

5人の姉、一人の兄、妹を含む8人兄弟で

決して豊かな生活ではありませんでした。

 

稼ぎ頭である大工の父が13歳の時に他界し

母もその二年後に他界するという困難な状況でした。

兄が学業を諦め働くことで生計をたてるという苦しい生活でしたが

弟の王伝福だけには学業に専念させていたそうです。

 

そんな苦しい環境で育ちましたが

学業は抜きんでており、化学分野で学位を取り

1987年から北京の金属研究所で働き始めます。

そこで電池の研究に没頭します。

 

成果が認められ、当時異例の26歳の若さで

1993年に研究所の運営する深圳電池会社の総経理に抜擢されることとなります。

ここまでの経歴で技術一筋のエンジニアだったことが分かります。

 

企業運営と電池製造を経験していく中で

電池分野の将来性が大きいことを肌で実感してきます。

 

当時、とても高価な携帯電話が中国にも登場して来ていました。

高い値段にもかかわらず売れている様子を見て、

携帯電話市場とそれにともなう充電電池市場はこの先大きく発展するという予感を持つようになったのです。

 

世界一の電池企業を作りたいという夢をかなえるために

起業することを決断しますが、お金がありません。

なので、そのころ深圳で建設業の社長をしていた兄に相談に行きます。

 

国営企業総経理という安定したポジションを持ちながら

起業すると言いただす弟を兄は必死に止めますが

最後には根負けし、お金を貸すことになりました。

 

それが1995年のBYD設立につながります。

 

 

(2)電池事業について

 

当時日本企業がシェアの90%を取っていたのが電池市場です。

三洋、パナソニックソニーという大きなプレイヤーがいる中にBYDは参入していきます。

始めはOEMからスタートしましたが、その後BYDブランドでの生産を始めます。

 

アジア金融危機の影響もあり、周りの日本、韓国のプレイヤーが苦しむ中、日本産よりも40%も低い価格を武器に、ノキアモトローラの携帯向けの大型受注を獲得し、どんどんシェアを伸ばしていきます。

 

その成功をもとにニッケル電池だけでなくリチウム電池の製造にも乗り出そうとします。

 

日本企業に設備を買いに出向くのですが、

高すぎると判断し、設備研究にまた没頭します。

 

他の企業が高い自動化設備を海外企業から購入する中、

設備にも技術にも詳しい王伝福は

設備でしかできない部分と人でも可能な工程を分解し、人海戦術でラインを完成させることに成功します。

本当に自動化は必要かを疑い、安い人件費を活かしたライン設計により他社を圧倒する安さで生産可能になったのです。

2002年には中国1位はもちろんのこと、三洋に次ぐ世界2位にまで躍進します。

 

その頃の中国では

OEMが主体で低利益から抜け出せないのが製造業の課題でした。

 

OEMから始まり→低利益

・海外設備の導入で生産性と付加価値を高める投資

・人の能力や環境要因で設備が活かしきれず負債を抱える。

OEMを継続するしかない。

 

この悪循環が起こっていたのですが

自分の技術でこのサイクルを突破したBYDは

中国でも脚光を浴びました。

 

2002年には香港で上場し、

誰が見ても成功しきったと思えるところまで

わずか7年で辿り着きます。

 

 

(3)自動車事業について

 

これだけの成功を収めているにもかかわらず

電池市場の天井を悟った王伝福は別の道を検討し始めます。

 

まずは携帯電話のOEMを始めますが

それだけでは不足と考え

自動車か半導体への参入を考えます。

 

この2つに関しては

まったくの門外漢ではありますが

自ら本を読み漁り、研究した結果

自動車の技術ならすぐにキャッチアップできると考え

自動車製造への参入を決めます。

 

立ち上げ当初からいた幹部の中には、こんなに成功しているのに自動車への参入は無謀だと考え、会社を去ったものもいるようです。

 

その当時の国有企業であった

西安の秦川汽車を買収し、BYDの自動車会社を設立します。

 

秦川汽車はもともと軍用車の製造をしていたのですが

平和な時代が続く中では商売が成り立たないため

車に参入したという経緯があります。

 

日本の車メーカーから人を招いたり

参考にしながら開発したのが

スズキのアルトをベースにしたフレアーという車です。

 

一時は売れていたのですが

長安汽車吉利汽車との競争の中

価格競争に巻き込まれ、負けてしまっていたのが

当時の秦川汽車の状況でした。

 

そんな秦川汽車をBYDは買収したのですが

その当時は電池の技術を使って

電気自動車を開発してやろうということではなく

純粋に自動車市場への参入が目的です。

 

2003年の設立からは研究開発に専念し

2005年に初めて自動車の製造、販売を始めます。

 

大ヒットするF3という車も

最初は三菱のエンジンを使用していましたが

2007年からは自社開発のエンジンに変わっていきます。

このF3は2009年に中国現地メーカーで最も売れた車になります。

 

2008年には世界初のプラグインハイブリッド車の量産に成功し、

電池の技術と自動車が融合してきます。

 

そんな時に転機が訪れます。

それは著名投資家

ウォーレン・バフェットからの投資が決まるのです。

 

リーマンショックの後で世界的不況だった時に

バフェットからの投資は将来有望企業のお墨付きをもらったことになります。

 

バフェットはもともと最低出資額5億ドルで

どんな企業にも打診にするのですが

王伝福は、株を20%も握られることを嫌がり

結局は2.3億ドルの出資となります。

 

出資を始めて断られたバフェットは

メディアでも王伝福のすごさを語り

デトロイトモーターショーでBYDのロゴが入った服を着て訪れたり、BYDの車でバークシャーハサウェイの株主総会に現れたり世界に向けてPRをしてくれたようです。

 

そんな転機もあり

BYDは2010年には中国国内メーカーで売上1位の座に輝きます。

その後、日本の老舗金型メーカーのオギハラの工場を買収し

自動車用の金型技術を手に入れることで模倣でなく独自のデザインの車を作っていくことになります。

 

参入当初は

自動車で失敗しても

リチウム電池があるという考えでしたが

 

電気自動車の需要増に伴い

車載用電池の需要と重要度も増すということが

ここ10年は起こってきているため

この2つの事業が融合して来ています。

 

こうやって見てくると

とんとん拍子に成功しているように見えますが

 

車載用電池では

2011年に設立された

後発の中国企業CATLが圧倒的No.1を独走しています。

 

自動車にしても

中国企業の参入が相次いで

ライバルもどんどん増えているような状況です。

 

紹介が長くなってしまいましたが

 

当時の中国企業がなかなか取り組めなかった

技術と自社開発にこだわり、電池と自動車の市場を開拓してきたBYDの成り立ちを話してきました。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

秦と漢時代から見る「ルールと管理」についての雑談

春節明けなので

閑話休題な話になりますが、、

 

皆さんの会社でも

たくさんのルールや制度があると思います。

「なかなかルール守ってくれない」

「ルールの目的が忘れられ形骸化している」

などなど

工場でもよく問題になるトピックです。

 

今回は今では当たり前となっている

組織管理に必須の「ルール」の運用について

考えていければと思います。

 

 

中国秦の始皇帝が法によって国を治めた

というのは今でも有名な話です。

 

しかし、ルールによって人を管理するという考えは

そのはるか昔からあり、

 

中国を統一する前の秦でも商鞅という人が

法での統治を進めていました。

 

たとえ、国王の息子でも

違反すれば罰するという厳格な運用をしていたようです。

(それで恨みを買い、後に報復され逃亡しようとした際に、自分で作った法律と例外を許さない運用のせいで、国境で止められてしまうという逸話があります。)

 

 

法律とは言いますが、

この時の法というのは

現代で考える法とは違います。

 

今では当たり前の三権分立という

機能もない中での運用なので

やはりトップの考えが色濃く反映されるものです。

 

こう考えてみると

戦国時代から発展してきた法での統治は

現代でいうところの企業ルールにより近いように感じます。

 

他国との競争の中で

生産力を高め、税収を増加させ

自国の競争力を高めるために考え出されてきました。

 

 

では、他国にも法やルールがあった中で

秦は何が違っていたのでしょうか?

それは中央集権による例外なしの運用と

その内容の細かさ、厳格さが違っていました。

 

他国でもルールは作られていましたが

その範囲は中央だけにとどまり

他の地域では豪族や貴族などに運用は任される

というのが一般的でした。

 

 

何がルールとその運用に差を生んだかというと

トップの人間観や意思であるように感じます。

 

この戦国時代は

諸子百家というように

今までの王朝の秩序がなくなり

各国が戦国の中でどのような国を目指すべきか

という思想家がたくさん出てきた時代です。

 

儒家墨家道家、法家、兵家など

今でも有名な思想が一気に出てきて

各国のトップがどれを重視するかで

その国のルールや管理に影響したはずです。

 

秦の始皇帝

その中でも法家の考えを重視しました。

 

有名な韓非子の中で

多くの文章を割いて、

儒家の批判をしていることから

その時代に各国で重宝されていたのは

孔子から始まる儒家の思想だということが分かります。

 

この思想内容には深く立ち入りませんが

 

儒家の思想は

仁(人への愛や思いやり)

礼(仁を表現する行動や習慣、礼儀)

など人間の内面の徳を重要視する考えで

忠(君主に対する忠義)

孝(親や年長者に対する敬い)

につながります。

 

法では刑罰では人の心は動かず

ごまかしや、厚顔無恥な態度で抜け穴を探し人はついてこない。

 

だから

道徳と礼儀をトップが尊重することによって

人がそのような態度を恥ずかしくなる、

その恥の気持ちから行動を変えてもらう

というような考え方です。

法は道徳向上のための補助手段に過ぎないということです。

 

 

このような考えが強い時代に

秦の始皇帝は合理的な法家思想を重視します。

 

性善説性悪説の話もありますが

韓非は人間の内面に頼らない考えを示します。

 

人間は欲望のままに動いてしまう

それは自分の利益を追うからだという

利の人間観を説きます。

 

君主は

道徳より利を優先する人間に対し

それを法と術でコントロールするべきだ

という考え方です。

 

法は明文化されたルールであり

術はアメとムチでのコントロール

今で言うインセンティブのことです。

自発的な行動には任せないという意思が伝わります。

 

資本主義の中での企業のように

道徳や縁故ではなく

結果と能力で判断するという考え方です。

 

そしてトップは

例外なく、感情抜きで

結果に対し信賞必罰を実施する必要があるということです。

 

非常に合理的で、現代にも通用する考え方ですが

儒教的な時代に秦の始皇帝はこの法家思想を

徹底して進めます。

 

 

その頃の秦の法律を見てみると

今でも通用するような法律がたくさん出てきます。

食料倉庫の管理を取ってみても

 

穀物を倉庫から搬出する際には、搬入した者とは別の者が搬出作業を行い、その分量を量り、帳簿と合致してはじめて搬出させよ」(倉律)

 

厳密にルールが明文化されていて、

今の工場でも、不正やコンプライアンス対策として

そのまま使えるようなルールになっていて驚きです。

 

 

内容だけでなく運用に関しても徹底しています。

 

例えば

「君主が布団をかけず眠ってしまっていたのを見て臣下が布団をかけてあげた。その臣下は衣服担当であり、布団担当ではないので、この場合、衣服担当は越権行為、布団担当は職務怠慢で2人を罰すること。

 

良かれと思って行った行為でも

法から外れていたり、越権行為は許さない。

良心に従って行ったとしても、それがエスカレートすれば

役人の越権行為を生み、秩序を乱すことになると

ここまで徹底した考えのもと運用されていました。

 

しかし、

ここまで徹底しようとすると

管理や取り締まりの工数は大幅に増加します。

 

秦が中国を統一後

厳格な法治管理が各地で適応されましたが

やはり、末端まで厳格に運用されていたかというと

そうではないようです。

 

特に楚の国では、なかなか守ってもらえず

何度も法律を改正し、中央からの役人を増やし

どんどん厳格に取り締まるようになりましたが

逆に、民の恨みを買うという結果になりました。

 

項羽と劉邦で有名な、項羽は楚の武将で

秦の始皇帝がなくなった後に、政治が不安定になった際

造反軍として秦を滅ぼします。

 

やはり厳格で細かな法の運用は

管理される側へ相当な負担をかけていたように感じます。

 

劉邦により漢が中国を統一した後は

法家の思想家たちは衰退していきます。

道家儒家がまた台頭してきます。

 

それは法やルールがなくなっていったのではなく

法という制度は維持されますが、

その解釈の方法の変化に表れてきます。

 

秦の時代の合理的で厳格な結果主義から

漢の時代は儒教の影響を受けた法解釈になっていきます。

 

これは中国での法の特長であり、

ヨーロッパでは法思想には明確な聖典(キリスト教)との結びつきがあるのに対し、中国では儒教の影響は大きいですが、決まった形で受け継がれるわけではなく、やはりトップの重視する思想に影響を受けながら変化していきます。

 

 

それ以降、仏教や道教の台頭などが起こりますが

中国の皇帝や上級社会、科挙の試験などを通して

重視されてきたのは儒教でした。

 

漢の時代の刑法の判断にもその思想の変化が表れている

面白い例があります。

 

「子供が罪を犯したときに、親はどう対処すべきか?」

このようなジレンマを抱えた事例が、この時代にもありますが

 

儒家の論理による解釈では

家族の情愛に基づきこの罪を隠すことは良しとされ無罪になりますが、法家の論理では法の実効性が第一優先なので、告発しなければ隠したとして罪となります。

 

秦の時代から漢の時代にかけて

ルール自体に大きな変更があったわけではないようですが

情や家族、人間の内面、道徳を重視するという

解釈の方法が徐々に変わっていっています。

 

話はそれますが、

今回の春節の大型映画「第二十条」でも

この法解釈がテーマとして扱われていました。

 

検察官の男が

・いじめを止めようとして加害者を傷つけてしまった息子

・借金取りに妻が暴力を受け、夫が借金取りを殺害してしまう事件

という問題を抱えます。

 

動機は良心からなのに、良心を発揮した方が罪に問われる現状に対し、道徳、良心を優先する判決を主張するというラストシーンがあります。これを見た中国の法学生の間も賛否両論が起こるという内容でした。(映画自体はコメディ要素も多く楽しい映画ですのでぜひおすすめです)

合理的で画一的な法治と人間の道徳的な正しさとの間で起こる摩擦は、現在でも映画のテーマになるほど答えのない問いだと感じました。

 

 

話を戻すと、

こういった解釈の移り変わりは

トップの考えの違いだけでなく

秦の厳格な法治が民から恨まれていた

ということへの反省や揺り戻しもあるのかもしれません。

 

 

法だけでなく統治制度も秦から漢にかけて揺り戻しが起こります。

 

秦は統一後も中央集権化を続け

郡県制という、皇帝が任命する役人によって

地方の管理を進めました。

 

漢に変わった後は

郡国制という、中央直轄地は秦と同じ方式

地方は封建制、つまり諸侯に統治を任せるという

秦の時代と周の時代を混ぜ合わせた統治に切り替えていきます。

 

漢はこれを行い、反発なく統治を進めた後に

徐々に郡県制、中央直轄の領地を広げ中央集権化を推し進めます。

 

しかし、後漢では徐々にまた地方の力が増し、

豪族や地方役人のコントロールが中央から離れていきます。

その後、自然災害による飢饉や黄巾の乱などが起こり、群の役人だった董卓や県の軍人だった曹操が登場する三国時代が始まっていきます。

 

このように漢時代は封建制と郡県制を交互に繰り返しながら400年にわたり続きました。(秦は15年ほど)

 

これは後の隋唐、宋などでも同じような流れです。

戦争の頻度や景気の良し悪しというのは安定することなくコントロールできないものです。その中で中央集権が行き過ぎるとの徴税などで地方が不満を持ち反乱がおこる、逆に地方に任せすぎると力を持つようになり、

中央が政治、経済的に不安定な時に野心を持ちだす。

この繰り返しが続き、帝国→戦国→帝国が起こっていきます。

 

以降の時代の皇帝や政治家も

郡県制と封建制どちらが統治のためには良いか?

というのはずっと議論されてきている問題です。

 

両方の間を取りながら

郡の範囲を変えてみたり、中央から派遣する官吏の権限を財政と軍事に分けてみたり、官僚を増やしてみたり、と様々な試行錯誤がなされつつ、

今につながっている制度でもあります。

 

 

どちらが良かった

時代によって一変したということではなく

ルールによる管理自体はずっと引き継がれていきます。

隋唐の時代には中央集権と律令体制が確立され

統治制度のロールモデルとなり

日本もそれを学んで律令制を取り入れようとします。

 

中国の流れと同じように

日本でも中央集権的な統治は

飛鳥時代から奈良時代平安時代初期まで続きますが、

崩壊していき、貴族による分権化が進みます。

 

 

このような変遷は現代の組織でも起こっているような気がします。

 

皇帝が変わっても

国の民は変わらないように

企業のトップが変わっても

企業の従業員が一気に変わることはありません。

 

創業期のトップは

ルールを作り、それを浸透させるために

目を光らせ、徹底することから始まります。

中央集権的にならざるを得ません。

 

立ち上げや変革の際はこれが必要ですが

従業員や幹部は自発性がなくなったり

疲弊していくことも考えられます。

 

次のトップはそんなことを察知しながら

より任せる、分権化、エンパワーメントする

という対応を選ぶかもしれません。

 

そうすると反対に

最初は自由と権限を持ち自発的に貢献していた部下も

その権限を自分のために使うようになり

ルールによる統制が乱れたり、

企業としての競争力が落ちてきたりします。

 

このようなサイクルが一定間隔で起こり

また、中央集権的な改革が必要になる。

 

どちらが正解ということではなく

 

組織や環境、以前のトップからの流れを見て

今に合った方法を選んでいくことがいるのかもしれません。

 

歴史に残り、後世で有名になるのは

中央集権的に

イチからルールを立ち上げた人や

徹底的に変えた人達ばかりですが、

 

その間で

安定や秩序のために分権化を進めた人や

より細かな改正や解釈変更を通して

組織に根付かせた人たちの存在があります。

 

また、組織にとって

どちらの状況でも必要になってくるのは

韓非の言う「術」です。

 

「法」やルールの部分に目が行ってしまうのですが

中央集権でも、権限を委譲していく段階でも

 

トップは「術」の部分、評価やインセンティブ

つまり、何かの結果をもとにアメとムチを使える状態は

維持しておかなければなりません。

 

それがないまま

新しいルールを作ったり

権限を委譲したりしても

それぞれが自分に都合の良い解釈に流れていきます。

 

どのような管理を実行していくにしても

目的は競争力の向上になります。

そこに向かって人が行動するような

間接的な仕掛けが組織にとっては必要です。

 

特に中国企業はこれを徹底しており

日本企業の方が、より人の自発性とそれへの期待に基づく仕事の進め方になっていることが多いです。

 

どちらが良いというより

結果への責任と権力・権限のバランスが崩れていると

トップとして、自分で決める、任せるという管理ができなくなって

乱れてしまうのです。

 

ここが維持できないと

「結果に責任は取りたくないけど、新しいルールも受け入れたくない」ということが起こります。中央集権的にトップが決めてもそれには従わない、逆にある程度のKPIを提示し、やる内容は任せるという分権管理を進めようとしても、それはできないと言う。というのは、トップが「術」のコントロールを失ってしまっている時に起こるように感じます。

 

今回は思いつくままに長々と書いてきましたが

過去の法や制度の変化、解釈や運用の試行錯誤は昔からずっと続いており、これでうまくいく!というものはなく、状況によって揺り戻しや、使い分けをしながら今に続いてきているという話をしてきました。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

工場で従業員の成果をどう評価するか?

工場の売上は

オーダーの数量によって決まるので

景気の循環に大きく影響を受けます。

 

ですが

生産拠点である工場は

どれだけ生産したかということが

一つの評価指標になっていることが多いです。

 

なので

工場の操業度や稼働率というのは

もちろん景気の影響を受けます。

 

景気が良いときに

工場の従業員の評価でよく使われていたのは

出来高管理です。

 

需要が供給を上回っているため

「昨日よりもたくさん作ることができた。」

それがその工場や従業員の頑張り

として評価されるという仕組みでした。

 

しかし、

景気が悪化し

需要が供給能力を下回ってきたときに

たくさん作らないといけない機会というのは減ってきます。

 

例えば

もともと1日8時間

10人で800個作る能力だったとします。

景気の悪化で現在のオーダーは

400個/日しかないという状況になったとしましょう。

 

経営者目線で言えば

生産性を維持するためには

 

5人で1日400個生産するように組み替えるか

10人で400個を4時間で生産し、

残りの4時間で別の品番を作ったりすることで、

他のラインの人を減らしたりすることが必要になります。

時間当たりの出来高を維持するという方法です。

 

しかし、

実際に多くの工場で起こっているのは

10人で8時間かけて400個作って

計画通りの出来高を達成したら問題なしという状態です。

 

これは極端な例ですが

オーダーは変化しているにもかかわらず

残業や人数はあまり変化していないということが多々あります。

 

この例のように単純化すると

「さぼっているじゃないか!」と

すぐ気づけると思うのですが

 

実際は

多くの工程や品番が混在しているために

工場の能力を人数と品番によって

把握できていないというのが理由です。

 

その他にも給料のために残業を減らしたくないなど

様々な要因が考えられますが、

 

それは次の生産性を上げるステップで出てくる障害です。

時間当たり出来高などの評価が明確な場合はインセンティブがありますが、それがあいまいな場合、頑張ったら残業が減り給料が減るじゃないかということで非協力的になってしまうというようなことです。

 

 

ここで整理すると

現場を評価する際のステップは

(1)現状の生産能力で計画通り作っているか?(順守率)

(2)現状より生産性向上をさせた場合にどう評価するか?(インセンティブ)

の順番になります。

 

多くの企業は生産性向上をまず目標にして

インセンティブを考慮せず、先ほどの残業や給料の問題にぶつかります。

 

 

しかし、

先ほどの例でも話したように

まずやるべきは今の生産能力がどれだけあり

その計画に沿って作れたなら加点してあげるということです。

 

先の例に戻ると

400個を8時間で作っているような状態から

まずは400個が4時間で終わっている状態を目指す。

 

そのためには

この品番は10人なら8時間で生産可能という前提の能力を把握するということが先決になります。設備の能力は把握しているが、生産計画を作る元になっている前提能力はよくわからないというのはざらにあります。

 

そして

この段階で最初に評価してあげるのは

計画通りの時間で計画した出来高を生産したか?

という順守率です。

 

4時間で終わった分早く帰らせるということでなく

計画通りに作り終わっていることを評価します。

 

4時間を超えた分はすべてどこかに停止ロスが潜んでいます。

現状の能力を把握し、そこからこの数量は何分でやるべきという生産計画を作る。そこから遅れた原因を可視化することが狙いです。

 

いきなり残業を減らすのではなく

異常の解決に時間を使うことから始めます。

 

それに加えて、

中国の工場では

離職率の高さから減っていく傾向がそもそも強いです。

 

現状の能力を人数別に把握することで

9人なら、8人ならこれだけできる。

ということが設定可能になります。

 

人の補充が必要かどうかというのも

事実をもとに判断できるようになります。

会社として共通の前提での人数と生産能力を揃え

それをもとに数と時間の生産計画を作る。

 

そして、

その前提通りに作れたら従業員に加点

作れなかった部分は生産ロスとして

工場として今後生産性向上のために取り組んでいくテーマとしていく。

 

やはり

最初から評価があいまいなまま

生産性向上を進めようとしても停滞してしまいます。

 

まずはこのステップで進め

そもそも現状の能力が甘いなどの

現状把握を通しての発見があれば

そこに切り込んでいけば良いと思います。

 

 

P.S.

現状の能力の把握には

生産スピード、CTの把握が不可欠です。

人や設備の動きの時間測定が必要です。

 

ストップウォッチなどで測ったりするか

製造の教えてくれた数値で把握するしかありません。

 

そんな工数をかけることなくセンサーを取り付けるだけで

生産時間自動収集を可能にしたのが

新開発ラズベリーパイ搭載の

可視化センサーです。

 

ライン設置にかかるのはわずか1時間

いつ、どれだけロスがあるのか丸見えに。

 

従業員の記録作業をなくし、

時間による工場管理をすぐに導入できる。

 

以下にメリットを簡単に説明しますね。

 

 

■従来の課題と解決策

 

(3)本当の生産スピードの把握

・ストップウォッチで工程一つ一つのCTを測るのに工数がかかる。生産計画作成に使われている前提となるCTと実際にどれだけ差異があるか把握できない。

 

→標準搭載の光電センサーで人やモノの動きから回数とそのスピードの実績データを自動取得。一個当たりの生産時間が記録され、標準のCTを越えた時間は停止時間としてカウントされるため、いつ、停止ロスが起こっているのかが一目瞭然。

 

 

(1)生産時間のムダが見えない

・従業員は生産実績のみを記録しているため

生産中の停止時間まではわからない。

 

・可動率の記録も生産数を元にしているためデータの正しさ、いつどれだけ止まっているかが把握できない。

 

→可視化センサーにより稼働データを自動で収集。

正確なデータ取得及び24時間リアルタイム監視が可能。

 

 

(2)可視化までの費用と時間

・設備メーカーとの打ち合わせ、改造コスト、

PLCの修正、データの取り出しなど、ハード面で多くの費用と時間が必要。

見える化までに1年以上かかるというプロジェクトが通常。

それに加えてシステム業者選びから開発などソフト費用が発生。

 

→どんな設備でもセンサーを取り付けるだけ。

1時間でハードとソフトの設定完了。

 

いつでもご連絡ください。

中国工場の生産性向上に取り組む前にすること

こんにちは。

カイゼン研究会です。

 

「うちの工場は生産性が低いんだよなぁ」

「今年は本格的に生産性アップに取り組もう!」

 

もちろん、

工場としては毎年継続して取り組んでいることなのですが

 

「生産性が低い」ということそのものを

一度、立ち止まってみて考え直してみても良いかもしれません。

 

 

どういうことかというと

 

経営者としては

何か日々収集しているデータや、

生産現場で感じる作業者の数や動きを見た実感など

定量、定性の情報を組み合わせて

 

そして、それを何らかの基準と比較して

「生産性が良くないな、、」

と判断したり、感じていると思います。

 

例えば

生産数(アウトプット)÷投入時間(インプット)

を毎月観察して

 

前年比や前月比で悪くなっているな、、(危機感)

だから本格的に生産性アップを進めよう

というような流れです。

 

しかし、

現場側はその経営者が見ている生産性データを

あまり重要視していなかったりすることがあります。

 

生産品番によって

1個作るのにかかる工数が違うというのが

前提としてあり

 

少ない工数で作れる品目が

多く売れた月は生産性が上がり

 

逆の品番が増えると

生産性が下がってしまうなど

 

そもそもその生産性というデータは

自分のコントロールできないものだと

認識してしまっている場合が多々あります。

 

オーダーの状況に影響を受けるから、

製造側は、他の指標

品質や納期は注意するけど

経営層が見ている生産性には

そこまで重きを置いていないという状態です。

 

 

ここで避けたいのは

 

「お互いの認識が違う」

もしくは

「この生産性という指標は

製造の実力・努力を表現できていない」

ということがうすうすわかりながら

 

今までの延長で

続けてしまうということです。

 

しかし、

より細かく品番ごとに分け

各品番の標準工数に基づく製品時間を決め

製造部がコントロール可能な数値として

生産性を管理するためには

 

管理、計算する人を含めて

かなり工数がかかることも事実です。

 

生産性の指標が複雑になればなるほど

中国では現場の理解が進まず

形骸化して経営層だけが見るデータになってしまいます。

 

 

では、どうすればよいのか?

 

まずは厳密なインプットやアウトプットの計算にこだわらず

シンプルな指標で開始した方が

現場での管理がうまくいきます。

 

 

例えば簡単な例を挙げると

出来高や不良数

というシンプルな指標は

厳しく目を光らせなくても

製造は良かった、悪かったということが判断できます。

 

それと同じように

 

生産性も、まずはシンプルな

(1)生産スピード

(2)ロス時間

(3)残業時間

 

という

現場も自責でコントロールできる部分に

絞って進めていくのが分かりやすいです。

 

(1)生産スピード

これは新しく測定する必要はなく

現在、生産計画を作成するのに使用されている

能力、CTを基準とすれば良いです。

 

それをもとに

生産計画、生産順序、残業時間が決められているはずです。

 

(2)ロス時間

(1)で決まった生産計画に対しての遅れは

すべてロス時間=停止時間になります。

 

生産計画を基準として

数量を時間通り、順番通りに生産した場合を

100%とすると

 

時間通り、順番通り作れなかった部分が

現場の生産性を下げるロスを生んでいることになります。

 

・基準のCTをオーバーする

・チョコ停

・材料切れや運搬による停止

・品質不良による停止

・設備故障などなど

 

要因は様々ですが

このロス時間が生産性に直結する指標として

製造部が気にしなければならないものです。

 

そして、

製造部にとってもひと目で良かった、悪かったが

分かる情報となるので使いやすいのです。

 

(3)残業時間

残業時間は計画の時点で

CTと生産数をもとに決まっています。

 

しかし、

(2)でロスが出た分だけ

残業が増加することが通常です。

*1

 

まずはこの簡単な3点を

製造の責任項目として

管理していくことが生産性向上につながります。

 

それを続けていくと

そもそもの生産計画や

その元になる情報の(1)が実情と合ってないのでは?

というようなことも見えてきますが

 

まずは

シンプルに製造現場が理解し責任を持てる数値を

決めることから始まります。

 

言い換えると

 

生産性という大きな言葉から

現場が「この数値を下げれば良いのだな」

という具体的な数値に変換してあげるということです。

 

そのためにロス時間=停止時間をそのまま使ったり

金額換算したりして、可視化し

評価のインセンティブにまで組み込めれば

現場の行動が変わってきます。

 

 

■なぜ、時間による管理がうまくいかないのか?

 

実際、どんな工場でも従業員は毎日生産情報を記録しています。

生産実績、稼働率、可動率、停止の原因、、

 

しかし

誰かがずっと張り付いてみている訳でなく

生産終了後の結果だったり、1時間に1回は

チェック表に記入しましょうというルールに基づいて記録しているだけです。

 

なので

生産中にいつ、どれだけ止まったのかというのは分かりません。

つまり、その記録はではいつ、どんなロスがあったかという

必要な事実がないため、分析、アクションにつながらないということです

 

それに加えて、人手による記録のため、

大規模の故障等、誰の目にも明らかなトラブルは記録しますが、

それ以外の、作業ミス等による細かな停止は記録されないことがほとんど。

「生産数さえ達成していれば問題無い」

その意識が生産日報、チェックにも影響しています。

 

これは

損失につながる停止ロスを可視化するため

人手で記録することの限界でもあります

 

 

従業員による精度の低い記録作業をなくし

人は自動収集したデータを使って

チェックとアクションに専念する。

 

それを可能にしたのが

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可視化センサーです。

 

ライン設置にかかるのはわずか1時間

いつ、どれだけロスがあるのか丸見えに。

 

従業員の記録作業をなくし、

時間による工場管理をすぐに導入できる。

 

 

以下にメリットを簡単に説明しますね。

 

 

■従来の課題と解決策

 

(1)生産時間のムダが見えない

・従業員は生産実績のみを記録しているため

生産中の停止時間まではわからない。

 

・可動率の記録も生産数を元にしているためデータの正しさ、いつどれだけ止まっているかが把握できない。

 

→可視化センサーにより稼働データを自動で収集。

正確なデータ取得及び24時間リアルタイム監視が可能。

 

 

(2)可視化までの費用と時間

・設備メーカーとの打ち合わせ、改造コスト、

PLCの修正、データの取り出しなど、ハード面で多くの費用と時間が必要。

見える化までに1年以上かかるというプロジェクトが通常。

それに加えてシステム業者選びから開発などソフト費用が発生。

 

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(3)データ収集後のアクション不足

・データが蓄積されていても、

ローカル従業員がうまく使いこなせず

ロス削減に向けての具体的な行動がない。

 

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*1:3)=もともとの残業計画+(2

「管理者をどう管理するか?」がコスト削減のカギ

こんにちは。

カイゼン研究会です。

 

不良やライン停止という問題が

工場にとっては損失になります。

 

しかし、

これらを発見したときには

すでに損失は既に発生している状態です。

 

もちろん

発見して尚且つ

二度ともう起こらないようにしていなければ

今後もその損失は一定の頻度で継続します。

 

そして

発生前に前兆に気づくということができれば

損失を回避できる。それが理想的な状態です。

 

なので

(1)発生前の予防

(2)発生した事実(問題)の発見

(3)問題を今後起こさないための行動

 

この3つすべて達成している時に初めて

コスト、損失の発生を防げると言えます。

 

工場管理は

いかにこの理想の状態を作るか?

を試行錯誤していくものです。

 

では

この3つの仕事に対して

あなたの工場の管理者が日々

「どんなことを実行したか?」

を考えてみてください。

 

決められた数を生産するという目的なら

この3つの仕事は不要です。

 

しかし、

コストや損失をなくす

原価を下げるという目的があるなら

この3つの仕事に対して

「何をしたか?」が

管理者としての役割を果たせているか

という評価基準になってきます。

 

 

どうしたらこの3つの仕事ができるか?

そして、なぜこの仕事がやりにくいか?

 

それは

管理者の立場に立つと

わかりにくい仕事だからです。

 

意味は分かるけど、

・どういう時に

・誰が

・どんなことをすればよくて

・何をしたら終了なのか?

不定形でルーティンでない仕事のように見えます。

 

逆に言うと

これらのタイミング、役割、責任を明確にすることができれば、管理者の仕事として成り立つということです。

 

役割、責任の明確化は

会社制度の話になりますが

 

タイミング

これが大きな問題です。

 

なぜかというと

どういう時に問題がある

またはありそうだと判断するか?

これは人によって

「当たり前の基準」がバラバラだからです。

 

なので、

1時間に1回、管理者は

現場を見に行ってチェックして結果を記入しなさい。

などなど

無理やり定量的にしていきます。

 

しかし、

これは問題かどうかを判断する

基準への解決策にはなっていません。

 

品質の場合は

・不良が検査で見つかったら

・作業者が異変に気づいたら

という(2)発生した事実(問題)の発見

に明確な行動開始の合図があります。

 

なので

停止ロスなどでも

15分以上停止が続いたら問題発生と定義する。

という管理者の行動開始の合図を作って管理する

という方法がとられます。

 

そこでは何か通常と違うことが起こっているので

原因とそれをなくすためにとった行動は何か?

までをセットにして管理者を管理しようという制度です。

 

これが最もシンプルな時間による管理です。

 

より詳細な時間測定を行うことで

計画していたCTと

CT実績を比較し

そのバラつきを行動開始の合図にするというのが

品質管理でも使われる管理図のような使い方です。

 

5個連続で基準より時間がかかっていたら

管理者は行動開始してください、というような管理手法で、大きな停止が起こる前に未然に防ぐという(1)の効果も期待できます。

 

最初に戻ると

(1)発生前の予防

(2)発生した事実(問題)の発見

(3)問題を今後起こさないための行動

 

この3つを管理者に迷いなく、さぼらず

やってもらえるようにするためには

 

人の判断を介さない形で、

仕事開始の合図となる情報を計測し

記録し、伝達することが必要になります。

 

それが

人を介さない時間による管理です。

 

 

■なぜ、時間による管理がうまくいかないのか?

 

実際、どんな工場でも従業員は毎日生産情報を記録しています。

生産実績、稼働率、可動率、停止の原因、、

 

しかし

誰かがずっと張り付いてみている訳でなく

生産終了後の結果だったり、1時間に1回は

チェック表に記入しましょうというルールに基づいて記録しているだけです。

 

なので

生産中にいつ、どれだけ止まったのかというのは分かりません。

つまり、その記録ではいつ、どんなロスがあったかという

必要な事実がないため、分析、アクションにつながらないということです

 

それに加えて、人手による記録のため、

大規模の故障等、誰の目にも明らかなトラブルは記録しますが、

それ以外の、作業ミス等による細かな停止は記録されないことがほとんど。

「生産数さえ達成していれば問題無い」

その意識が生産日報、チェックにも影響しています。

 

これは

損失につながる停止ロスを可視化するため

人手で記録することの限界でもあります

 

 

従業員による精度の低い記録作業をなくし

人は自動収集したデータを使って

チェックとアクションに専念する。

 

それを可能にしたのが

新開発ラズベリーパイ搭載の

可視化センサーです。

 

ライン設置にかかるのはわずか1時間

いつ、どれだけロスがあるのか丸見えに。

 

従業員の記録作業をなくし、

時間による工場管理をすぐに導入できる。

 

 

以下にメリットを簡単に説明しますね。

 

 

■従来の課題と解決策

 

(1)生産時間のムダが見えない

・従業員は生産実績のみを記録しているため

生産中の停止時間まではわからない。

 

・可動率の記録も生産数を元にしているためデータの正しさ、いつどれだけ止まっているかが把握できない。

 

→可視化センサーにより稼働データを自動で収集。

正確なデータ取得及び24時間リアルタイム監視が可能。

 

 

(2)可視化までの費用と時間

・設備メーカーとの打ち合わせ、改造コスト、

PLCの修正、データの取り出しなど、ハード面で多くの費用と時間が必要。

見える化までに1年以上かかるというプロジェクトが通常。

それに加えてシステム業者選びから開発などソフト費用が発生。

 

→どんな設備でもセンサーを取り付けるだけ。

1時間でハードとソフトの設定完了。

 

 

(3)データ収集後のアクション不足

・データが蓄積されていても、

ローカル従業員がうまく使いこなせず

ロス削減に向けての具体的な行動がない。

 

→弊社に在籍しているトヨタ自動車OBのコンサルタント

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マンネリ化と戦う中国企業の工場管理~ハイアールの事例~

おはようございます。

カイゼン研究会 中国支店の宇賀です。

 

中国の工場管理において

新たにルールや制度を決めても

1カ月も経つと形骸化してしまうということはよくあります。

 

なぜそれをしているかという本来の目的が忘れられ

「やりました」というチェック表や帳票への記入といった

表面上のことだけが業務として継続していく、、

さらに問題への対策としてルールが追加され

新たなチェック表が増えていくという流れです。

 

 

一見簡単に見えることを

継続する、習慣にすることの難しさは

中国における管理の難題であると

 

中国の代表企業でもある

ハイアールのトップ張瑞敏さんでさえそう語っています。

 

中国に進出している日系企業特有の悩みではなく

中国を代表する企業でさえそう感じているということです。

 

 

では、中国企業では

どのような管理を通して

この問題を乗り越えてきたのでしょうか?

それを工場管理のヒントにしていこうと思います。

 

 

創業者がまだ健在の中国企業では

圧倒的トップダウンで、トップの指示が隅々まで

伝達されているというイメージを持ちます。

 

しかし、そんなイメージとは異なり

やはり規模が大きくなると

組織に階層が生まれ、

トップダウンボトムアップ、その両方が混ざりながら

管理制度の作り込みによって

その問題を乗り越えようとしている企業がほとんどです。

これは日本企業にも似ている部分です。

 

 

次にハイアールの事例を挙げていきますが

大きな違いはその管理制度にあります。

 

(1)個人の責任と賞罰の明確な規定と透明化

(2)インセンティブと即時実施(すべて金額換算)

(3)市場原理と競争の徹底

 

この3要素が日本の製造業では見られない

代表的な特徴となります。

 

 

■どんな制度となっているのか?

 

作業者だけでなく管理者も含め

すべての工程、作業に明確な基準・標準

毎日何をするべきかという役割と責任が文書化されており

手帳として個人に事前に渡されます。

基準や目標に対しどの程度でするべきか

達成度で給与がどのくらいか、賞罰はどういう時に受けるか

ということが記載され、責任とそれに伴うインセンティブ

事前に知ってから仕事をするという仕組みです。

 

これにより(1)や(2)が従業員にとって明確にされます。

 

 

これに基づく日々の管理はOEC管理と呼ばれ

 

・企業目標→個人目標

(日本企業で言うと工場方針から個人方針に落とし込むようなモノをさらに細かく定量的に実施したもの)

・日清管理

(個人の目標に基づき日々結果を記入する)

インセンティブ設計

(上記の内容と実績に基づき賞罰を決定)

 

この3項目が組み合わされ日々運用されています。

 

 

特徴的なのが

日清管理と呼ばれるもので

作業者日清と管理者日清に分かれています。

 

■作業者の場合

毎日の終業後に

生産数量と決められた作業単価

そして7つの点検項目によってその日の給料が決まります。

(生産量、品質、消耗品、金型、安全、躾、労働規律)

 

ここで面白いのが

自分で点検するということと

毎日即時に

出来高×作業単価+賞罰で給料が決まるということです。

 

もちろん班長のチェックは毎日入りますが

自ら点検し、振り返り、賞罰を記入することで

当人の反省を促し、点検結果がもっと良くなるためには

どんな問題があるかということを考え記録させるためだそうです。

 

この日々の集計が月の給料になるので

作業者も適当には済ませないという構造のようです。

 

毎日自分の価値を金額換算しながら点検し

向き合うというのは相当厳しいことでもありますが

お金がかかっているので向き合わざるを得ないし、

責任もあいまいにしない文化が育ちます。

 

(不良が自分の作業のせいなのか、前工程のせいなのかで給料に違いがでるため、班長含め毎回責任を決め、問題を見過ごさない文化です。ある意味、異常発見を当事者が本気になってやる仕組みともいえます。)

 

 

■管理者の場合

管理者の仕事は3つに分けられています。

・日常管理(給料の25%)

・問題管理(同60%)

・創造性(同15%)

 

各項目に対して

管理者は2時間に1回必ず生産ラインで

問題を確認します。

 

そして

以下の5W3H1Sという切り口で管理、点検していきます。

どんな問題か(What)、問題はどこにあったか(Where)、いつ起こったか(When)、責任者は誰か(Who)、なぜ起こったか(Why)、同様の問題は他のところにもあるか(How much)、この問題が企業にもたらす損失はいくらか(How much cost)、どのように解決したか(How)、問題を解決した後、安全を確認したか(Safety)

 

ここでも、面白いし重要だなと思うのは

管理者の仕事はあくまで問題を解決することだ

ということを給料、インセンティブ面でも示していることです。

 

加えて、連続3回「問題なし」と記入すると

その職場の目標設定は甘いと判断され

目標の変更を強いられます。

 

まさに問題を発見できないことが

一番会社にとってロスだということを

これでもかと強調した制度となっています。

 

これも

上で述べたように、作業者が問題を自発的に顕在化、可視化してくれる環境があることがカギになっています。

このように問題解決をメインとして、自己審査し上司に提出します。

 

発生した問題に関しては

80:20ルールがあり、管理者や上級職位に80%の責任があるという原則があり、賞罰にも関わるため、解決の先延ばしが管理者や幹部に返ってくるようになっているのも特徴的です。

 

作業者も管理者も

点検結果と評価は毎日張り出され完全に透明化されています。

 

 

■競争意識を促す評価とインセンティブ

 

このように上司からだけでなく自己の点検、反省を通して

出てきた結果は給料だけでなく、格付けとしても反映されます。

 

 

毎日、

「最高作業者」と「最低作業者」という認定が行われます。

毎月その評価が集計され

・優秀作業者

・合格作業者

・試用作業者

という3段階評価がなされます。

 

賞罰で給料に差がつくだけでなく

優秀作業者

福利厚生、職業訓練等で優遇される制度設計となっており

管理者への応募も可能になります。

 

逆に試用作業者になってしまうと

改善されなければ解雇されるという厳しい立場に置かれます。

 

ちなみに「最高作業者」を3日連続で取ると

自分の成功体験や反省を朝会で演説、紹介する

という時間がとられます。

 

以前までは「最低作業者」もみんなの前で

反省を強いられていましたが

時代の流れもあり、個別教育に切り替えたそうです。

 

結果の違いによって

他の同僚との待遇が明確に変わり

それはみんなに見える状態となっている。

競争意識を持たすための動機付けに

かなりの力を注いでいることが分かります。

 

 

経営幹部・管理者についても

同じように毎月結果が張り出され

1年を通して集計されA~Eの評価がでます。

そして下位10%降格になります。

その10%は下からの応募になるという仕組みです。

 

上位層になっても

停滞、マンネリしていると

すぐに降格されるという制度設計となっており

むしろ作業者より厳しい制度になっています。

 

管理者や職歴の長い幹部層の

モチベーション不足などが日系企業では

よく悩み事として聞かれます。

 

それは中国企業でも同じで

安泰のポジションがそれを生み出してしまう

というのが中国での見解なのかもしれません。

 

上でも述べたように

作業者の問題であっても

80%は上位層の責任になるというルールです。

 

よくある

「言ったのに、部下がやらなかった」

というような他責での説明であったり

煙に巻くような報告で再発を繰り返す状態は

自分の賞罰と評価に影響にし、降格につながります。

 

ファーウェイなどでも同じような制度で

特に、権力や人間関係で安定した仕事ができてしまい、変化しなくても良い状態になってしまう管理者というポジションに向けて、厳しく制度設計されていることが分かります。

 

 

他にも京セラのアメーバ経営に似たような小集団に分けた管理会計の導入や、さらに進んだ官僚型階層組織の撤廃など、組織づくりにおいても5年10年単位で大きな変更を加え続けています。また別の機会で話せればと思います。

 

 

今回はハイアールを事例に

どのような制度管理をしているか

ということを見てきました。

 

このOEC管理もアメリカ、日本の製造業の学習から

中国ではどう管理するのが良いか?

というのを試行錯誤して出来上がったものです。

 

一つ一つの制度や目的は

日系企業でもあるものかもしれませんが

より詳細に、より明確に運用ルールが決められ

賞罰や競争のインセンティブが組み込まれていることが分かります。

 

その中国ならではの部分が

工場管理に活用するヒントになればと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。