中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

中国での社内コミュニケーション

おはようございます。

現場カイゼン研究会 宇賀です。

 

 

・5Sとは?

・ジャストインタイムとは?

見える化とは?

 

社員教育や講義、書籍やWebにある情報で

こういった内容を学ぶことが多いはずです。

 

5W1Hとはよく言いますが

最初に挙げたような情報は

すべてWhatに属しています。

 

 

そして、

経営者が学ぶ側に期待しているのは

そのWhatを知った後、

自らの職場や会社でどう実現してくれるか

ということになります。

 

 

このWhatをどう実現していくか?

誰と(Who)どのように進めていくか(How)を考え

進める際に出てきそうな課題を想定し

いつ始め、どんなステップで、いつ完成させたいのか(when)?

 

 

無理やり5W1Hを例に挙げていますが

ここで言いたいことは

 

 

Whatを知ったら

「あとは実現するために自分で考え情報を増やしていき、やってくれよ」

という期待が込められているということです。

 

 

そしてこれができる人が

日本企業では良い社員だということになっています。

 

 

しかし、本当にそうなのでしょうか?

 

 

最初のテーマ設定、定義の意味はもちろん大事ですが

 

実際、

各企業によって課題や環境が違い

選択肢が多く、どう部下に指示を出して、

どう良し悪しをチェックするか?

 

難易度が高い部分は

実行する道筋を考える、つまりHowの部分です。

 

どこかに明確な定義や情報がある訳でもなく

その企業ならではの方法を考えないといけない部分。

 

 

経営層からするとWhatを知ったなら

あとは自分で考えて実行することが仕事だろうと。

手とり足とり教えないとできないなら、

自分でやるのと変わらないし

それは指示待ち人間じゃないか?

 

 

しかし

中国の従業員からすると

どう進めるかという部分はリソースにも関わるので

経営層が考えてくれるだろうという気持ちと

 

実際に方法は教えてもらっていないから

Whatのまま部下に伝えるということが起こります。

そして期待通りでない進捗や結果が出てきます。

 

多くの会社でここにギャップがあります。

 

 

誰がどこまで考えるのが仕事かという認識が

日本人経営層と中国人管理職で

かなり異なっていることによく直面します。

 

 

例えば

 

昔の上司がある言葉を好きでよく使っていました。

それは、稲森和夫さんの言葉で

 

「人間には、自分で燃える自燃性、周りから焚きつけられて燃える可燃性、周りが燃えても燃えない不燃性の3タイプがあります。」

「皆さんは自分が不燃性の人にならないように気をつけてください。」

 

少し考えてみると

 

これは

経営者や会社が発した

方針や方向性(What)

という大きく抽象的なテーマに対しての

社員の反応だと思います。

 

じゃあ、燃えるというのが

そのWhatに向けて行動を起こす、協力すること

だとすると

 

 

ここで言っているのは

 

情報量の少ない中でも自分で動き出す人が自然性。

自然性の人が出てきて、さらに情報量が増えた後に動き出す人が可燃性。

情報量が増えても動かない人が不燃性。

 

 

受け取る情報量と

行動をおこす閾値の関係で分類していると

捉えることもできます。

 

 

この言葉の裏にあるのは

できるだけ少ない情報量や指示で

自分事にできるのが理想の社員だという考えですし

私もそう思います。

 

 

しかし、

他国に行ったときに

この考え、期待がそのまま通用するかというと

そうではないはずです。

 

 

アメリカ企業では

従業員の権限、ポジションと責任範囲が

決まっていることが多いです。

 

それが明文化されているので

その責任範囲と違うことを相談しても、

それは社長が決めます、それは課長が決めますと

自分の範囲が決まっています。

 

それに対して

日本企業はそれが明確ではないため

責任範囲を察する、関係者が増えるということがあります。

 

 

しかし逆に言うと

責任範囲が分かりにくいため

 

さっき挙げた上司の言葉のように

担当者レベルでも部長の気持ちで考えよう

社長ならどう思うか?ということを日常で鍛えています。

そしてそれこそが模範的社員との共通認識です。

これは欧米企業にはない文化です。

 

 

中国の日系企業

その中間のようなイメージですが

欧米企業のように

明確な範囲が明文化されているわけではないですが

 

従業員は自らが考える責任範囲に従って

これは自分の仕事、そうではないと

判断していることがほとんどです。

 

従業員は欧米のような考え方ですが

責任範囲は会社としては明確ではないというのが特徴です。

 

 

そんな状況を踏まえると

ギャップに対する解決策が見えてきます。

 

期待と責任の定義と渡す情報量に

変化を加えることが必要です。

 

 

 

例えば

今までのようにWhatだけでなく

How、Whenまで

それこそ今までより情報量を増やした状態で

やってほしいことを伝える。

 

 

しかし

情報量100%でやっと動き出すものがロボットだとすると、

その線引きは難しいですし

そんなことまで指示しないといけないの?

という状態に陥るのが難しいところです。

 

 

なので

習熟度によって変化させる必要があります。

 

やり方はいろいろあると思いますが

 

 

習熟度が低いうちは、時間をかけて

 

今まではWhatだけ渡していたけど

HowとWhenからは一緒に考えよう。

そこで方法を学んでもらいながら実行。

 

次は自分でWhenまでを考えてみよう。

 

 

従業員からするとやったことのない作業なので

 

・どう進めるか(How)を考えるときのポイント

・どこからどこまでやってほしいという定義

 

この2点を決めたうえで

お互いの期待や考えにギャップがないか

確認していくことは必須になります。

 

 

長々と書きましたが

 

従業員への期待や

わかってくれていると思う情報量の基準にギャップがあるので、それに気づく。

そして情報量やコミュニケーション、定義に変化を加えていくべき。

という話をしてきました。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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