こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
この数年、中国ローカル企業からの相談、依頼が増えてきています。
そしてその依頼内容も今までと変化してきています。
◎依頼、相談内容の変化
今までは中国企業からの要望は
「6か月で生産性30%上げてくれ!」
「3か月で不良率を20%から5%にしてくれ!」
という短期視点での利益追求が主でした。
そして背景は、豊富な需要に対して増産、増産で対応してきた中で、どう生産量を増やし納期を間に合わすかという課題でした。
しかし、最近はもちろん生産性の追求、量の追求というのもあるのですが、
「従業員の意識を変えてほしい!」
「ジャストインタイムの思想を根付かせる教育をしてほしい!」
といった、人の意識、育成に関する要望が増えています。
(欲張りになってきています。笑)
◎変化の理由
ある総経理に理由を伺ったところ、こんな答えが返ってきました。
(その方は自ら勉強しTPSへの知見も深い方です)
「以前は、オーダーも増え続け、商売人としてはいかにそれを取り逃さないかだけを生産の役割と考えていました。投資してもすぐに元が取れるような状況でした。しかし、最近は今までのような需要の伸びは期待できません。そんな状況で、短期的に儲けるよりも、100年続く企業を目指したいと思っています。需要の変化にも影響されることなく、長期的に利益を出し続けるために、トヨタのような日本の企業はどう儲かる体質を作り上げたかがヒントになると思いました。」
◎大野耐一さんの現場改革のプロセス
彼は、トヨタ生産方式を勉強する中で、トヨタ生産方式の考案者である大野耐一さん、特にその現場改革の手順に魅了されたと言います。
大野耐一さんが何から改革を始めたか?
その始め方が大切です。
標準作業の導入、多能工化(多工程持ち)
数々の改革を実施してきましたが、そのすべてに共通する始め方があります
それは自分と同じ考え方を持つ弟子を育てることです。
標準作業の導入で言えば、まず期待できる若手を選び、トヨタより先に標準作業が浸透していたトヨタ紡織やデンソーに派遣し、「標準作業組み合わせ表」の作り方、使い方という知識を学ばせに行くところから始めたのです。
そして帰ってきてから職場で教えさせる(鍛錬)ということを展開していきました。
当たり前のことのように見えますが、この始まりが、現場の組長が標準作業を作る文化を作り、作業カイゼンのできる現場づくりの原点になっています。
そして多能工化、かんばん方式導入に関しても、鈴村さんを始めとする技術指導員(学卒組)をまず集めて、理論、考え方、思想という知識をまず徹底して教えその後にそれぞれが現場で実行しようと試行錯誤します。
壁にぶつかっても、答えは言わず、自分で考えさせながらも、プレッシャーを与える。
しかし、ずっと見守っているということをしていたのです。
そうした弟子たちが育ちその弟子がまた弟子を育てていくにつれてトヨタ生産方式も社内で広く展開されていくことになったのです。
中国企業も短期的な儲けではなく長期的な生き残り、もの作りはひとづくりの思想が重視されてきているという話でした。
ありがとうございました!