中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

赴任者

カイゼン研究会のパートナーであり、HRP(ヒューマンリソースパートナー)日中異文化経営コンサルタントとして、フリーランスで活動している金です。

 

私は日本生まれ日本育ちの華僑第3世で、中国で1990年代後半から活動をしています。

 

中国における経営・事業・組織・人事・マネジメント・コミュニケーションを含め、日々気づいた事をこうしてメルマガで発信させて頂いております。

 

 

【赴任者はストレス過多】

仕事で中国には来たのは1996年。

 

早いもので25年が過ぎようとしています。

 

当時は20代。

 

無我夢中で上海の街を走り回っていました。

 

数多くの方々と商談やプライベートを含め交流をさせていただきました。

 

96年当時と現在では中国の環境や状況は大きく変化をしていますが、駐在員の方のストレスは当時と変わりません。

 

ストレスの要因は異国における文化や価値観の違い。

 

また事業展開におけるスピード感の違いや法的な事情。

 

マネジメントを含め様々です。

 

ビジネスインフラは当時とは比べられないほど良くなっていますが、異国である中国において規模の拡大や競争の激化、競合の変化を含めストレスが多い状況には変わりありません。

 

その中でも駐在員の方々の大きなストレスの一つに赴任目的があります。

 

赴任目的や帰国後のポジション、処遇を含めたキャリアプラン

 

赴任には様々な要因や要素がありますが、赴任目的が明確にされないまま赴任される方が多く

「赴任の最大の目的は何ですか?」
という質問をすると全ての駐在員の方がそうとは言えませんが、明快な返答がなかなか帰って来ないのは25年前とそれほど変わっていません。

 

日系企業と欧米系企業との赴任者に対する考え方の違い】

日系企業(以下日系)の赴任者にもちろん目的がないわけではありません。

 

売り上げやシェアの拡大、販促ルートの確立、人材育成と様々な目的を持って進出されます。

 

欧米系企業(以下欧米系)との大きな違いは欧米系の場合、赴任前に目的や役割を明確にして赴任するという事があります。

 

欧米系の場合赴任前に本国において人事が赴任者本人と面談を行い

 

1.赴任の目的(ミッション)

2.赴任時期と赴任期間

3.赴任期間及び帰国後の評価方法

4.赴任期間中の権限と責任

5.本国へのレポート方法等々。

 

赴任前に時間をかけて上記を含めた内容を事細かに説明し、理解と納得を求めます。

 

赴任者本人からの要望や要求も協議検討し聞き入れ、内容に納得をすれば最後は契約書に署名をして赴任となります。

 

【最大の違いは権限(責任)とキャリアアップ(評価)】

欧米系の赴任者は決められた権限を持った上で業務を推進して行きます。

 

しかしそれは一方で責任も重く、判断を誤るリスクも抱えています。

 

日系の場合、権限はあるにせよ最終局面における本社への確認及び調整業務が多いのが実情です。

 

それぞれに特徴はありますがダイナミックに変化している中国において日系の赴任者の権限は欧米系に比べそれほど大きくないのが現状と言わざるをえません。

 

帰国後の評価や処遇においても違いが見られます。

 

欧米系は赴任期間中の目的(ミッション)が明確なため、ミッションが達成されれば帰国後の処遇にストレートに反映されます。

 

対する日系は全ての企業とは言いませんが赴任期間中及び帰国後の処遇において曖昧な企業が多いように思われます。

 

それぞれの文化や考え方があり権限の与え方や評価の仕方は違って当然です。

 

一概に日系がだめで欧米系が良いというわけではありません。

 

それぞれの企業にはそれぞれの事情もありますが欧米系から学べる事も少なくありません。

 

まずは赴任の最大の目的(ミッション)は何なのか?を再確認し、赴任期間中にいつまでにどのような事をどこまで進めるのか?を考えてみるのも赴任期間中における重要な任務だと思います。