中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

日系企業に勤める中国人の意識 「用人不疑・疑人不用」

カイゼン研究会のパートナーであり、HRP(ヒューマンリソースパートナー)日中異文化経営コンサルタントとして、フリーランスで活動している金です。

 

私は日本生まれ日本育ちの華僑第3世で、中国で1990年代後半から活動をしています。

 

中国における経営・事業・組織・人事・マネジメント・コミュニケーションを含め、日々気づいた事をこうしてメルマガで発信させて頂いております。

 

 

5000年、70年、40年

 

中国の歴史は4000年とも5000年と言われていますが、近現代を見ると新中国の成立が1949年10月1日。

 

今年で74年。

 

急成長を遂げた改革解放から40数年です。

 

最近では急激な経済の発展によるひずみや格差などが浮き彫りになっています。

 

改革開放後の40年を比べて見ても日本と中国とでは社会的背景に大きな違いがあります。

 

価値観が交錯する人材マーケット

 

建国から70年。

改革開放から40年。

中国の社会的背景を分析していきたいと思います。

 

文革世代

文化大革命の影響で大学入試が中止になった1966年~1978年。

 

この時期に入試を試みていた若手知識層は働き盛りである20代を当時の政策により農村で過ごすことになり(全ての人はありませんが)辛酸をなめてきた世代です。

 

入試が再開した78年には30代に突入しこの世代はハングリー精神と優秀な頭脳をもった第一世代であると言われています。

 

現在は高齢になり変化の激しい中国の人材マーケットという意味では対象としては厳しい世代になってきています。

 

■留学世代

大学卒業時に改革開放がスタート、中国の発展と共に成長してきた世代。

 

大学生は国家の養成したエリートであるという考えの中、国家が就職先を決定する「分配」が行われており、この世代のキャリアのスタートはそのほとんどが国営企業になります。

 

改革開放と共に訪れる自由な雰囲気の中、欧米や日本へ留学をする人が多く出た世代でもあります。

 

能力や資質には個人差もあります。

 

現在は40代後半から50代に突入しており、どのようなキャリアをどこでどのように作って来たかがポイントになります。

 

履歴書や職務経歴書を含む資料や面接からの見極めが重要になります。

 

■自由世代

留学世代が改革開放と共に成長して来た世代だとすれば、自由世代は急激な経済の成長により社会的恩恵を受けてきた世代だと言えます。

 

分配が廃止になり就職は双方向選択に、外資の中国への進出により新しい価値観や基準が一気に入ってきます。

 

目に見える劇的な変化を経験または体験をしてきた世代になります。

 

一人っ子政策の実施と共に成長してきたこの世代を総称して「80後」とも言われています。

 

現在の中国を担う幹部となっています。企業の幹部として今後の企業の発展に大きく関わっている世代になります。

 

1979年からスタートした一人っ子政策は2015年に終了し上記の文革世代、留学世代、自由世代の後に90年生まれ(90後)00年生まれ(00後)と続いて行きます。

 

90後、00後は発展し成長し続けている現在の中国で成長してきた世代です。

 

中国を代表するアリババやテンセント等ネットインフラが当たり前の世界で育ち、中国が大国として台頭し世界の中での位置付けも変化をしてきた状況の中生まれ育っています。

 

各世代の価値観や考えはカオス状態で入り乱れ世の中や世界の情勢の変化と共に変わりつつあります。

 

大事なのはそれぞれの「違い」を認識するということです。

 

急激に発展してきた中国において親の考えや価値観、受けてきた教育、環境の変化を含む社会的背景はあまりにも違っています。

 

様々な価値観が交錯する中、人材というマーケットにおいて杓子定規な見方をすると履歴や経歴を見誤ります。

 

「違い」を理解し認識することから中国の人材マーケットを見てみるのも重要だと思います。